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社長コラム

続・軒下の来客

2015年10月 1日掲載

『また来年も帰ってくるんだよ!』
 やはり、その光景を思い出すことになった。その日は、私の母親にとって5度目のお盆が過ぎた金曜日の朝だった。私は新聞を取りに玄関を出ると、電線に数羽のツバメがとまっていることに気が付いた。よく見ると皆、少し飛んでは家の軒先にしがみつき、また飛んでは元の電線に戻る、という行動を繰り返していた。(いよいよだな。)と心の中でつぶやきながら、私は元気なころの母親とツバメ達のやり取りを思い出していたのだ。
 彼らは5月の終わりにツガイが飛来してから、2度目の子育てで大きくなったヒナ達で、これから2週間、獲物のとり方を親鳥から教わる。その獲物とは、稲にとっての害虫などであるため、ツバメは昔から人間にとっての益鳥と呼ばれ、農業をする人たちには特に愛されていたらしい。 新聞を読んだ後、私は前夜の酒を蒸発させるため、朝の散歩に出掛けた。再び電線を見上げると、ヒナ達の姿がない。1時間足らずの内に自信がついて、遠くまで練習に出かけたのだろうか。わが家の近辺は新しい家が何軒も建ったが、まだまだ少し歩けば、水田が遥か遠くまで連なる景色にお目にかかれる。田んぼに近寄ってみると、稲は腰高くらいまで育ち、既に穂をつけていた。若ツバメ達の飛び方が上達するにつれて、吹く風も日に日に涼しくなり、気がつくと、虫達の姿も少なくなっている。すると、役目を終えたように、彼らに旅立ちの時が訪れる。やって来た時はツガイの2羽だけだったものが、8羽の大家族となって、南の島へ帰って行くのだ。これは、数千キロにおよぶ行程で、途中、海上で嵐に会うこともある過酷な旅だ。
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 この日の私のように、在りし日の母親は毎日散歩へ出かけ、農家生まれだったせいだろうか、稲の育ち具合をとても気にかけていた。そして、夏の終わりには感謝と激励の気持ちをこめて、旅立つツバメの一家に冒頭の言葉を掛け、送り出していたのだ。
 やがて・・・。去って行ったツバメ達と同様に台風の季節を乗り越えた稲穂は、これまでの様々なことに感謝するように、深く頭(こうべ)を垂れながら黄金色に実っていく。

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