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社長コラム

『夏羽織(なつばおり)』

2017年7月 1日掲載

『あー、来た、来た。社長、待ってたんだよ!』
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 5月も明日からは下旬になろうという、土曜日の朝。出社した私に、私が名人と呼ぶイシイ氏が、右手を上げながら近づいてきた。
「やあ名人、おはようございます、今日もよろしくお願いします。」
 この日、ショールームでは、『包丁研ぎ』のサービスが予定されていて、彼はその研ぎ師として、開店前から待機していた。...名人の出身地は群馬県南牧村である。南牧村は良質の砥石が採れることで有名で、江戸時代から数百年にわたり、砥石が村の経済を支えてきた。その村で育ったイシイ少年は、やがて町に出て、桐ダンスの職人として修行を積んだ。桐ダンスを作るにあたって、大切な道具が鉋(かんな)である。
『カンナが研げるようになったら、そりゃあ、一人前だよ!』
 名人がよく言うセリフである。職人の中でも、彼は刃物を研ぐことに秀でていて、親方からも高い評価を受けていた。さすが、砥石の村出身である。
 名人との出会いは十数年前、あるリフォーム工事を受注したときにさかのぼる。その後は、お客と業者の関係でいたが、ある年の感謝祭りで包丁研ぎのコーナーを作った際、『それ、俺が手伝ってやるよ!』と名乗り出てくれたのだ。間もなく、名人がそのコーナーの親方に納まったのは言うまでもない。その後は、妙に気が合い、失礼だが友人のような付き合いをさせてもらっている。
 ...『ああ、わかってるよ!だから、まずこれを見てくれって言ってるんだよ!』
 彼は、私を店の奥へ引っ張るように連れてゆき、その『作品』を指さした。紺の襟をあしらった黄色のシースルーと、白地に薄いグレーの縦縞模様の、涼しげな二着の夏羽織が吊るしてあった。生地の見立てから、裁断、仕立てまで、すべて自ら行い、衣紋掛けに至っては、細竹をしならせ、凧糸で弓仕立てに拵(こしら)えたものだから、誠に手が込んでいる。まさに、世界に二つとない品物だった。この羽織を着て、今年の夏祭りに登場する私の姿が、今から目に浮かぶ。...明日の日曜日も、研ぎ師としてやってくる名人へのお返しにと、このコラムを書いた。

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