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社長コラム

ミョウガ畑

2019年10月 1日掲載

 お盆が明けた最初の水曜日の朝。新聞を取りに外へ出ると、前日までより少しだけ風が涼しくなったことに気が付く。
「みそ汁の中身は、何にしようかな...。」
 私は独りつぶやきながら台所に戻って冷蔵庫をのぞき、その野菜が残っていることを確かめたあと、勝手口のドアを開けた。そこからは、畳一枚ほどのスペースに、ミョウガの木が競うように生えているのが見える。数えてみたことはないが、50本には達していると思う。
 私の母親・シゲ子が元気な頃、どこからか持ってきた数本を移植したものだが、年を重ねる内にこうなり、今では、ここを『ミョウガ畑』と私は呼んでいる。『これは、秋ミョウガだよ。』と彼女は言っていたが、ミョウガには『夏』と『秋』の種類があることを、その時初めて知った。確かに立秋を過ぎたあたりから、ニョキニョキと土を掻き分け顔を出し始めるのだ。
 話は、少し変わるが。日本の家にはそれぞれ『家紋』がある。水戸黄門で、格さんが突き出す印籠の『三つ葉葵(あおい)』などが有名だが、吉澤家のそれは『抱き茗荷(だきみょうが)』という。どんな絵柄かというと、まず、二本のミョウガを思い浮かべてもらいたい。大抵の形は三日月状に少し曲がっている。そして根元を下にして、その曲がっている内側同士を相向かいに並べる。確かに二つのミョウガは抱き合っている様に見え、わが家の墓石にもこの紋が刻まれている。本人に聞く機会はなかったが、シゲ子は嫁いできた家の紋に使われているこの植物に愛着が湧き、庭のどこかに植えようと苗木を調達してきたのだと私は思っている。
 ...『ガサガサ』と畑を探ると、数個のミョウガが、すぐに見つかった。その内の二つをナスのみそ汁に細かく刻んで入れ、残りはそのまま糠床に漬け、翌日の楽しみにする。
「はい、今年もおかあちゃんのミョウガが元気に顔を出していますよ!」
 みそ汁やぬか漬けを仏壇に供えながら、私は報告する。
『相変わらず調子がいいねぇ、お前は...。』
 手を合わせる息子の耳に、呆れながら笑う母親の声が届いた。

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