新しい月になった。
私は、毎月一日になると必ずすることがある。
『あれ、また、一日の話かい?』 と言う声も聞こえて来そうだが、初めての方もいると思うので、お話しする。
前橋市富士見町のわが家には、ひとつだけ和室があり、そこには仏壇が置いてある。
これは33年前、現在のわが家を新築した際に購入したものである。
当時まだ57歳だった私の母・シゲ子が、家を建てるにあたって唯一希望したのが『新しい仏壇』だった。
彼女が選んだ仏壇はとても大きく、畳半分のスペースが必要だった。
そのため和室は、仏壇の設置場所を先に決めてから図面を引いた程である。
家が完成して、仏壇が所定の場所に収まった時の彼女の嬉しそうな笑顔を今も思い出す。
シゲ子は新しく大きな仏壇に向かい、毎朝、水を替え線香を立てて手を合わせていた。
この作業は、彼女が吉澤家に嫁いで来た昭和37年、今から64年前から続いていたものである。
昭和53年に彼女の夫である私の父・宗三郎が亡くなってからは、その祈りもより深くなったようだった。
平成23年に彼女が亡くなってからは、この作業は私に引き継がれた。
そして、月が変わった朝。
私は仏壇の埃を払い、香炉に溜まった線香のもえかすを取り除く。
そして暦を一日に戻し水を供え、平らに均した灰の真ん中に、その月初めての線香を立てたあと、手を合わせる。
こうすると、不思議と気持ちが落ち着き、今月1カ月分の勇気が湧いて来るのである。
この日は、仏壇の掃除を済ませたあと、私は墓参りに出掛けた。
今年の2月1日は、母・シゲ子の15回目の祥月命日である。