立春から10日が過ぎた今年のバレンタインデーは正に春の暖かさで、数週間続いていた週末の寒波に一区切りをつける陽気となった。
『2月15日までにお願いします。』
コメント入りのシールが、2週間前に私のデスクに貼られた
これを書いた主は弊社スタッフのノムラさんである。
いつも原稿が遅れる私の為に、かなりの余裕を持って告知を始める腕利きの編集長である。
『かなりの余裕』というフレーズを書いたら思い浮かんだシーンがあったので、少しその話をさせてもらいたい。
・・・ここはわが家の寝室。
二つ並ぶベッドは、それぞれ東枕(ひがしまくら)になるよう配置してある。
仰向けになると私の右手が、わが家の実力者、彼女から見ると左手が私のベッドである。
寝室の目覚まし時計は、彼女の右側に置いてある。
私は、子供の頃から早起きは得意だった。
春から夏にかけての朝は、早く起きて遊びたくて、布団の中でウズウズしていたものである。
対してわが家の実力者は『朝寝坊は、食べ物以外で一番の好物』と言って憚(はばか)らない
わが家の場合、置いてある場所からも分かるように、目覚まし時計は実力者用である。
彼女はアラームを6時にセットする。
最近の目覚まし時計には『スヌーズ』という機能が付いている。
ドラマなどで、主人公が会社に遅刻してしまったシーンでは、(鳴り響く目覚まし時計を無意識に止めてそのまま寝過ごしてしまった。)というのがお決まりである。
スヌーズは、こういった事故防止の為に作られたものだと私は推測する。
わが家の実力者は、この機能を存分に利用している。
彼女がベッドから起き上がり、朝食の支度をしている私の前に現れるのは、7時30分である。
最初のアラームが鳴ってからの90分間、彼女はスヌーズボタンに助けられながら、その朝をスタートさせるのである。
・・・最初の告知をしてから2週間。
編集長はにこやかな笑顔と優しい声で私を上手く操り、原稿を完成へと導く。