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社長コラム

2012/08/01 その他

(続)海水浴とコーヒー

 『子供が飲めるのは今日だけだぞ。』
 お菓子職人だった私の父親が、子供用にコーヒーを淹れてくれたのは夏休み最初の日曜日、午前2時。この日、家族四人はいつもより数時間早く目を覚ましていた。毎日休みなしだった吉澤製菓には、二つのヒット商品があった。いまは、あまり見かけないが『ハッカ糖』と『まめ板』という砂糖ベースのお菓子だ。両親は二つの商品2日分をまとめて作り、前日にはお菓子問屋に納めていた。おそらく金曜日は二人とも徹夜に近かったはずだ。
 私にとって年に一度のコーヒーを飲み干すと、普段は配達用に使っているライトバンに浮輪や水中眼鏡が積み込まれた。待望の海水浴への出発だ。私は小さい頃から、父親が配達に出掛ける時にはいつもついて行き、すれ違う車を指さしては運転中の父親に「あの車は?あれは?」と、その名前を訊くことに際限がなかった。おまけに、「お父ちゃん、前の車、抜いて!」という危ない注文まで付けていた。こういう息子のリクエストに対して彼は面倒がらずに車名を答え、チャンスがあると、前を走る車をビュンと追い越して見せた。私が手を上げて喜んだのは言うまでもない。まだ高速道路がなかった42年前、目的地の新潟県石地海岸までは国道17号線を走っても5時間はかかった。この道中、助手席には当然のように、私が座っていた。母親と弟は後ろのシートで出発後間もなく、スヤスヤ眠り始める。反対に私の目はますます冴え、『追い越し』のリクエストを父親に要求する。しかし、この日は聞き入れてもらえない。目前の車は父親の友人で、一緒に海まで行く仲間だった。日が昇り、辺りが明るくなると私は対向車を指さし始める。日頃習った車名を私は発表し、父親は『当たり!』と返してよこした。三国峠のトンネルを抜け、このやりとりを続けながら、車は日本海に着くのである。

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 ひとりハンドルを握っていた父親にとって、コーヒーを飲ませた助手席の私が、実は眠気除けだったのかと、アルバムをめくりながら、つい笑いだしていた。
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