11月第3水曜日の夕方。
『お疲れ様です、コラムの進み具合はいかがでしょうか?』
ダイキョー通信・編集長のノムラさんから1通のメールが届いた。
私が彼女に付けたニックネームは『ハードチェッカー』。
仕事の期日や納期をキッチリと守る、その能力を見込んで私が自らこのポジションに任命した。
原稿の締め切りが迫ると、普段は涼しい彼女の目がキラリと光り始める。
私が担当する社長コラムにしても同様で、今回「出先から原稿を送ります!」と言った私の言葉を忘れない。
・・・ダイキョーは創業して27年。
私にも有難いことに、相談事は今でも届く。
そんな時は、キグレリーダー率いる営業チームに連絡すると即座に対応してくれる。
加えて言うと、私が自ら行動するよりスピードも精度も勝っていて、昔なじみのお客様にも評判がいいのである。
会社としては喜ばしいことであるが、個人的には少し悔しい気がしないでもない、62歳・社長職である。
年々、私の仕事は減るばかりであるが、この原稿は『社長コラム』である。
これを人に任せたら、題名を変えねばならない。
少し、愚痴っぽくなってきたので、場面を変える。
・・・冒頭の質問に、「今日中に書きます。」と私は答え、『よろしくお願いします。』と、編集長から返信が届いた。
夕食のあと、英語で話すテレビ番組をBGM代わりにして、今日一日の出来事を振り返りながら、しばらく私達夫婦は談笑した。
そのうち、それにも飽きたのか、妻であるわが家の実力者は、『私は先にやすみます。』と言って、寝室へと歩いて行った。
その背中に「おやすみ」と言って、私は持ってきたノートパソコンを急いで開き、(前橋の日の入りには、まだ時間があるな。)と、心の中でつぶやいた。
照り付けていた太陽と昼間の賑わいは、立ち並ぶ高層ホテルの窓明かりと夜の静けさに変わっている。
パソコンのキーを打つ私の耳には、海沿いを走る車であろうか、そのエンジンとタイヤの音が微(かす)かに聞こえていた。