5月第4土曜日。
この日、私達夫婦は共に自宅で休日を過ごしていた。
とはいえ、子供の頃から早起きが性分の私は休日であっても寝坊などはしない。
日の出が早いこの季節では、5時には自然と目覚め、5分と経たぬうちに起床する。
先ずは台所に行き、玄米を精米機にかける。
残った洗い物があれば、それらを片付ける。
その間に精米された白米を水素水で研いで炊飯器にかけたあと、洗面脱衣室に向かう。
カゴに放り込んであった衣類やタオルを洗濯機に入れてスイッチを押す。
振り返って玄関に向かい、ドアを開けて朝の新鮮な空気を吸い込んでから、ポストに入っている新聞を取り出す。
平日であれば、大体こんなルーティンワークで一日をスタートさせる。
しかし、この日は昼の弁当の心配が無いため、台所の洗い物と洗濯機を回しただけで、ソファーに腰掛け、ゆっくりと新聞を読み、テレビを観ていた。
午前8時になろうとした頃、2階の寝室で物音がした。
わが家の実力者が目覚めた気配である。
寝室を出た彼女は、牛歩のように階段を降り、リビングのソファーにもゆっくりと身を沈めた。
「おはよう、公ちゃん、よく眠れた?」
『ね・む・れ・た・・・』
私の快活な問いかけに対し、このまま眠ってしまいそうな答えが返ってくる。
私からテレビのリモコンを受け取り、好みの番組にチャンネルを合わせても、まだ目はうつろだった。
お察しの通り、実力者は朝が苦手なのである。
そして、テレビを観ながら15分程が経った頃、五感がようやく機能し始めたのか、主題の言葉が彼女の口をついて出た。
私はソファーから立ち上がり、わりと手早く(焼き魚、ナスの生姜焼き、ナスの糠漬け、ジャガイモと玉ねぎとワカメの味噌汁)朝食をこしらえた。
「公ちゃん、おいしい?」
『おいしい!』
実力者の目が覚めた瞬間だった。